投稿日: 2026-06-16
人件費とかこれからどう生きていくべきかとか、色々考えてしまった。
2026 年 6 月はじめ、GitHub Copilot が premium request 単位の課金から、トークンベースの課金に変わりました。 私が勤めている会社では、コーディングエージェントは Copilot を採用していたため、この影響をもろに受けました。 私は予算管理の責任を負っていたわけではないですが、課金状況をもっとも頻繁に watch していたため、値上がり具合には社内で一番敏感でした。 直前には、GitHub から公式の概算ツールが提供されていて、そのツールではこれまでの約 4 倍になる、という推測結果でした。 しかし、実際にはそんな甘い金額ではなく、2日ほど経過した時点で、同じような使い方を続けたら 30 倍ぐらい になってたんじゃないか、ぐらいの勢いでした。
GPT-4 が出たときや Claude Code が出たときなど、「いやぁすごいなぁ」ぐらいに思う瞬間はたびたびありました。 ただ、今回のこの値上がりを肌で体験し、色々なことを考えてしまいました。 この感覚はちゃんと覚えておいたほうが良さそうと思い、この文章を書いています。
もしかして人間よりも高くなった?
いつもの感覚で既存プロジェクトの issue に対応してもらう形で、機能追加を伴うコード変更を行ってもらいました。 以前だったら 10 程度の premium request で済んでいた、そんなに複雑なタスクではなかったですが、今回は大体 $15 ぐらいかかりました。 ちょうど時給みたいなものを想起してしまう金額だったので、無意識に人件費と比較しちゃいました。 間違いなく人より賢い…というか正確に早くタスクをこなしてくれるので、圧倒的に人間より優れた仕事ぶりだったと思います。 そうなると、大幅に値上がりしたとはいえ、 まだまだ人間を雇うよりは安そう 、と思いました。
ちなみに、Sonnet を使ってこんな感じだったので、Opus (や、今後当たり前になるかもしれない Fable や Mythos など)のような高性能なモデルだと恐ろしいことになりそうです。 いやほんと、皆さんの会社ではどないしてますの…?
仮に人間より高くなったとして、人間を雇い続けたいのか?
今後さらに値上がりしたときをイメージして、我々人間の雇用はどうなるんだろう、と想像しました。 実際のところ、かなりの値上がりをしたとしても 「AI のほうが雇いやすくね?」 と思いました。
人月の神話とかで言われるように、人が急に増えてもプロジェクトの進行は早くなりません。 コンテキストを共有してキャッチアップする時間が必要だったり、その後コミュニケーションするコストが増えるからです。
一方で、ビジネス要求をはじめとした(いわゆる上流とか言われる)ドキュメント類が巧く管理されていれば、AI はすさまじい早さで理解してくれます。 こういった土台を用意するのは、まだコツがあって簡単ではないと思いますが、これからどんどん知見と経験が蓄積されていきそうです。 そうすると、 「人が増えても早くならない」が「AI は増やせば増やすほど早くなる」とできそう です。
さらに、(お金さえ許せば)AI は簡単に増やせる一方で、それ以上に 「簡単にクビを切れる」 ほうが社会的な観点で強烈なのでは?と思いはじめました。 まだ私は体験したことがないですが、業務委託の人を打ち切るというのは、切る方のメンタルの消耗も大きそうです。 正社員に関しては、そもそも日本の現在の雇用形態だと、簡単に解雇とかできないと思います。 他方で、AI はそんなこと関係ありません。 月次どころか、日次で増減できます。
いまさらですが、改めて考えると雇用という観点で人間はめっちゃ不利ですね。
ただし、AI 使って価値を生み出せる、という条件付きの話
ここまでは言うは易しだと思っていて、実際に AI を効果的に使いこなすのは、まだまだ難しいと思っています。
さきほどは、「ビジネス要求などのドキュメントが正しく構造化して整理されている」という一つの条件を持ち出しました。 このほか、「AI を獲得した瞬間から、AI を正しく動かせる」という条件もあると思います。 社内の人たちを見渡してみると、それぞれについて「巧くやれている人」とそうでない人が居るようです。 そして、 巧くやれている人というのは、これまでにコーディングエージェントを触る時間が長かったり、試行回数が多い人 のようです。 漠然と分かっていたことですが、やはりこういった能力は、「鍛えれば伸びる」という意味でスキルといって良いのだと思います。
自分なりの今の結論
これからも私がソフトウェア開発者として雇用する価値のある人間で居られるように、以下を意識したいと思いました。
- ビジネス要求から break down して、最終的なコードを生み出せる
- AI リーダブルなドキュメント管理を行う
- 要求開発的なソフトスキルも依然として重要であるという認識
- AI を効果的に動かし続けられる
- 最近は、再利用可能な skill 化を行う力が一番効いているように見える
- 「並行処理可能なように直交したタスクに分割する」みたいなタスクスケジューリング能力(プロジェクトマネジメント?)も重要そう
- 常に初手 AI で考え、とにかく AI を使う時間・回数を増やす(最重要)
- プログラミングと同じで、座学だけでは何も身につかない